シャンプーに含まれる界面活性剤について
シャンプーは、汚れを落とす「界面活性剤」と質感の調節や湿気の多いところに保管していても腐らないようにするための「補助成分」で構成されています。界面活性剤は一つの分子の中に油になじむ成分(図の棒)と水になじむ成分(図の〇)の両方を持っているものです。その作用には
1)浸透作用:界面張力を減らすことで、繊維の中などに浸透しやすくする作用
2)乳化作用:水と油を混ぜることができる作用
3)分散作用:水と油と微粒子を混ぜると、微粒子がきれいに分かれる作用
があり、これらの力で汚れを浮かしてとっていきます。
界面活性剤の中には下の図のように大きく分けると①イオン性界面活性剤と②非イオン性界面活性剤の2つに分けられ、①がさらにa アニオン界面活性剤、b カチオン界面活性剤、c 両性界面活性剤の3種で合計4種類となります。
この中ではアニオン界面活性剤が最もシャンプー使用されていますので、これについて少し詳しく説明します。アニオン界面活性剤は①高級アルコール系、②アミノ酸系、③石鹸系に大別されます。
①高級アルコール系:ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウムなど
「高級」というのはよい成分を使っているとか、高価な成分を使っているとかいう意味ではなく、アルコール分子の中にある炭素の量で決まっています。炭素数が1~5を「低級アルコール」、6個以上を「高級アルコール」と区別されています(ちなみに私たちが飲んでいるアルコールはエタノール(エチルアルコール)ですが、C2H5OHという化学式で表され、炭素「C」が2個ですので、低級アルコールですね)。高級アルコールは安価で洗浄力が強く爽快感があるので、シャンプーにはよく使われています。ですから頭皮が脂っぽい人にはお勧めですが、ほかの界面活性剤と比べて洗浄力が強いので、肌の乾燥しやすい人が使用すると乾燥してしまう恐れがあります。ちなみに脂性の私が愛用しているトニックシャンプーには、ラウレス硫酸ナトリウムが入っていました。
②アミノ酸系:ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルサルコシンTEA、ラウロイルメチルアラニンNa、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルグリシンK、ラウロイルグルタミン酸K、N-アシルグルタミン酸塩など
水になじみやすいアミノ酸をもとに作られています。マイルドな洗浄力が特徴で髪と頭皮の汚れをおだやかに落とします。また、髪の毛との相性がよく、髪のつやもよく仕上がります。石鹸と比べると泡立ちが少し悪いです。ただ、高いのであまり普及していませんが、敏感肌の人におすすめです。
③石鹸系:石鹸素地、カリ石鹸素地 など
動物や植物の油脂から作られていることもあり、環境にやさしいと言われています。石鹸も安価で洗浄力、泡立ち、泡の安定性も優れていますが、洗浄力もそこそこ強いので、乾燥肌の人の中には、刺激が強く感じたり、髪がきしむという感じを受けたりする人もいます。さっぱりしたい人向けでしょう。また成分がシンプルなので、かぶれやすい人、何にかぶれているかわからない人は一度試してみられるのも悪くないと思います。ただ、石鹸は弱アルカリ性ですので、時間が経てば弱酸性に戻るとはいえ、気になる方は酸性のリンスですすぐとより良いと思います。