ご存知ですか?

2021年9月22日 (水)

オプトアウト

臨床研究のうち観察研究においては、たとえば患者さんへ痛みを与えたり、特別な薬を使ったりなどせず、患者さんから得られた試料(血液や皮膚など)を用いず、診療情報(カルテに記載してある内容)などの情報のみを用いて行う研究については、国が定めた倫理指針に基づき必ずしも対象となる患者さんのお一人ずつから直接同意を得るとはかぎりません。ただ、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を通知又は公開し、さらに可能な限り拒否の機会を保障することが必要とされています。このような手法を「オプトアウト」といいます。

研究のために自分のデータが使用されることを望まれない方は、新見までお知らせください。

現在、当院で参加している研究で、オプトアウトは下記の通りです。

1)「皮ふ科検診並びに検診に際してのアンケート調査」について

ver02.docxをダウンロード

2018年1月28日 (日)

金属パッチテストについて

パッチテストという言葉は、お聞きになったことがある方は結構いらっしゃると思います。たとえば、市販の毛染めには、毛染めを行う48時間前にパッチテストを行うよう、説明書きに記載があります。いったいどうするの、ということですが、実際のやり方は、実際に使用する2種類の試薬を指定された割合で混ぜたのち、腕の内側に塗って、30分後と48時間後に塗ったところに赤みやかゆみなどの反応がないか見るというものです。行うこと自体は簡単ですが、判定が少し面倒くさいです。まず、塗ってから30分後の判定ですが、これは即時型アレルギー、すなわち、つけてすぐ反応するアレルギーがあるかどうかを見ています。ついで、48時間後の判定は遅延型アレルギー、いわゆるアレルギー性のかぶれが起こらないかを見ています。即時型アレルギーのほうが、一般には治療で治りやすく、遅延型のアレルギーのほうが治りにくいですが、どちらかにでも反応がでたら、その毛染めは使えません。万が一間違って使ってしまったら頭が真っ赤になったり、ひどいときには汁が出たり、顔が風船のようにすごく腫れて目が開けられないほどになったりすることもありますので、気を付けてください。

パッチテストのスケジュール

金属アレルギーに関しては、この2つの時間だけでなく、もっと長く観察する必要があります。その理由は、48時間より遅れて反応が出る場合が多いからです。当院のやり方を簡単に示しますと、

 
火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日 月曜日 火曜日

試薬を

貼付

濡らさ

ない

1回目

判定

2回目

判定

3回目

判定

自宅で

見る

自宅で

見る

最終

判定

となります。すなわち、1週間で5回の来院が必要です。自分で見ればいいじゃんと思われるかもしれませんが、判定がかなり難しいので、来院していただきたいのです。もちろん、明らかな異常があれば、だれが見てもわかりますが、本当にアレルギーなのか、単なる試薬の刺激なのかを判断するのに、経験や知識が必要です。もし刺激なのに、アレルギーと間違って判定したら、本来避けなくてもいいものにまで、余分な注意を払わないといけなくなります。

当院で検査できる金属一覧

鳥居薬品から購入している金属パッチ試薬を用いています(15種類)。

塩化アルミニウム2%
塩化コバルト2%
塩化第ニスズ1%
塩化第二鉄2%
塩化白金酸0.5%
塩化パラジウム1%
塩化マンガン2%
三塩化インジウム1%
四塩化イリジウム1%
臭化銀2%
重クロム酸カリウム0.5%
硫酸ニッケル5%
塩化亜鉛2%
塩化金酸0.2%
硫酸銅1%

 

Photo_2

パッチテスト用のシールです

パッチテストの実際

1)火曜日の指定された時間に来院

2)15種類の金属+1つのコントロールとしてのワセリンの計16種類の試薬の付いた

  上記シールを肩甲骨の近くの背中に貼ります

3)木曜日まで、貼ったところを濡らしたり、大汗をかいたり、こすったりすることを

  避けます

4)木曜日の指定された時間に来院。シールをはがして30分待っていただきます

 (はがすという行為により赤みが生じますが、それを陽性として間違えてしまうのを

  防ぐため)

5)1回目の判定 写真撮影

  以後はパッチテストを行ったところを濡らしてもらっても構いませんが、印を

  つけていますので、それを消さないように注意してください。また、強くこす

  ったりするのも、皮膚に余分な炎症が生じて、判定に影響が出ますので、やめ

  ましょう。もし、印がもし消えそうになったら、油性マジックで同じように印を

  つけておいてください。ずれて間違った判定をするのを防ぐためです。

6)金曜日の指定時刻に来院 2回目の判定 写真撮影 (ものの数分で終了です)

7)土曜日の指定時刻に来院 3回目の判定 写真撮影 (ものの数分で終了です)

8)日曜、月曜は普段通りの生活です

   6)~8)の間も5)と同じような注意は継続して行います。

9)火曜日の指定時刻に来院 4回目の判定 写真撮影 結果説明

パッチテストの注意点

1)感作される可能性

   皮膚にアレルギーを起こす可能性がある物質を貼るわけですので、貼ることで、

   その物質に対するアレルギーを発症してしまう可能性が、少ないですがあります。

2)かぶれ

   実際、貼った金属にかぶれた場合は、赤み、ぶつぶつ、かゆみが出ますし、ひどい場合

   には水膨れになることもあります。そしてその後色素沈着が生じることもあります。こ

   れらは適切な治療を受けると、いずれ元の皮膚の状態に戻ります。ただし、潰瘍になる

   ほど強い反応が起こった場合、跡が傷として残ってしまう可能性も稀ですがあります。

   そういう場合は、金属を貼って、48時間立たないうちに、とてもかゆくなったり、水膨

   れになったりするので早めにはがしてしまうことで、ある程度防ぐことが可能です。そ

   れとは違った意味のかぶれとしては、貼ったテープのノリにかぶれる方もおられます。

以上のことをご理解いただいたうえで、パッチテストを行います。ちょっと大変ですが、肌のトラブルの原因を明らかにするうえで、とても重要な検査です。

今回は金属パッチのお話でしたが、化粧品などによる顔のトラブルが疑われる場合は、日頃使っておられる化粧品などを用いてパッチテストを行うことができます。ただ、化粧水と、シャンプー、クレンジングでは、皮膚に貼るときの濃度が違いますので、調整が必要となります。検査をご希望の化粧品類は、前日までに持って来ておいていただくと、あらかじめ調整しておけるので、当日の検査がスムーズに行えます。パッチテストを実際行うことが決まりましたら、検査について詳しく説明いたしますので、ご不明な点はお気軽にお聞きください。

2018年1月24日 (水)

金属アレルギーについて

みなさん、金属アレルギーという言葉はお聞きになったことがありますか。日常よく見られるものとしては、いわゆるかぶれ(接触皮膚炎)があります。時計の金属のベルトや、ベルトのバックル、ネックレス、指輪、ピアスなど金属が皮膚に当たるところに一致して、かゆみを伴う赤み、ぶつぶつ、水膨れがみられるのが典型例です。Q13_2

ジーンズのボタンによる接触皮膚炎

しかし、そのような単純なものばかりではなく、全身性金属皮膚炎(全身型金属アレルギー)というものもあります。これは、体内に吸収された金属が全身のいろんなところに影響を与えてアレルギー症状を引き起こすもので、吸収される経路としては、食物から入ってくるものと、体に埋め込まれた金属が少しずつ溶け出してくるものが知られています。

Q14_2健康食品のひえに含まれるニッケルによる全身性接触皮膚炎

前者としては、ニッケル、クロム、コバルトなどを多く含むチョコレート、ココア、豆類、香辛料、貝類、胚芽などが原因食物としてあげられます。一方後者の代表としては、歯科金属からがあります。歯科金属はパラジウム、金、水銀、錫などを含有することが多く、時にニッケル、クロム、コバルトなどを含むこともあります。これらの金属は皮膚、粘膜、腸管、気道の粘膜で吸収され、汗、乳汁、涙、尿そして糞便中に排泄されます。その金属が出てきた場所で反応を起こし、掌蹠膿疱症(手足に膿がでる病気)、汗疱状湿疹(手足に水ぶくれができる病気)、扁平苔癬(口の中にレース状の白色の苔のようなものや手背などに多角形の紫紅色のブツブツが出来る病気)、貨幣状湿疹(丸いジクジクした湿疹)、痒疹(虫刺されのようなものが全身にできる病気)、紅皮症(全身が真っ赤になる病気)などを発症させたり、今ある湿疹を悪化させたりします。そして、その金属の摂取を制限すると症状が軽快することより、因果関係が明らかとなります。このような病気を全身性金属皮膚炎といいます。

2017年12月 4日 (月)

男性型脱毛について

日本人は西洋人に比べて、男性型脱毛に悩んでいる人が多いと言われています。そういう私もそんな男性の一人ですが、その発症の仕組みはだいぶ解明されてきています。

この図は製薬会社MSDのHPからお借りしたものですが、毛の周期(毛周期)には1)成長期、2)退行期、3)休止期、の3つがあるといわれています。成長期は2~6年あり平均は4年です。毛の太さは、成長して、3年くらいで完成すると言われていますので、普通の人は、結構太い毛が生えているはずです。一方、細い毛が多い人は、早めに退行期に入りやすい性質を持っていると言えるでしょう。


Photo_4

その成長期の毛を弱らせ、退行期に早く入れさせようとするホルモンに、ジヒドロテストステロンがあります。そのジヒドロテストステロンは、男性ホルモンであるテストステロンから作られるわけですが、それを作る酵素が5α還元酵素で、この働きは遺伝的に決まっています。私も、祖父から代々薄毛であります。

その仕組みがわかったので、治療薬が見つかってきています。原理としては、髪の毛を退行期に入れさせるジヒドロテストステロンがわるさをしているので、それを作る、5α還元酵素の働きを止めればいいということになります。その作用を持った薬が、プロペシアであり、ザガーロであるわけです。

実際の効果を見ていただくと、下のような感じです。これは実は私です。

Photo_7

1_2

 

2

 内服前  内服1か月後  内服2か月後
 

35

 

6

 
内服3.5か月後 内服6か月後  

結構生えてきていると思いませんか。早い人は3か月で、遅い人は1年くらいで効果が出てきます。その効果には個人差があり、私のように増える人と、現状維持ではあるが、飲み始めてから薄くなることがなくなったという2種類があります。そのいずれかになる確率は90%と言われ、かなり有効性は高いとされています。

副作用としては、アレルギー、肝機能障害、女性化乳房(女性のように胸が大きくなる)、性欲減退、インポテンツ等が言われていますが、それほど多くみられるわけではありません。当院でもほとんど見られません。また外国の報告では、男性型不妊の原因になったというものがありますが、日本でははっきりと言われている例はまだないと思います。薬の飲み合わせの心配もないので、安全性の比較的高い薬といえるでしょう。私も10年飲んでいますが、特に問題は出ていません。

気になる方は、スタッフあるいは私に一言お伝え下さい。

巻き爪について

●巻き爪とは
 巻き爪は、窮屈な靴をはいたり、長時間にわたる立ち仕事などにより爪が圧迫されることにより生じるとされています。それに加え、爪を深く切りすぎると(深爪)、爪の端が皮膚に食い込み、皮膚が腫れてきます。ひどくなると肉が盛り上がったようになることもあります(肉芽)。

1makidume

●爪の切り方
 右の図のように爪は四角く切るのが正解です。また長さは爪の先端が指の先に当たる程度に伸ばしておくことが重要です。多くの方は指の爪は伸ばし、足の爪を短く切っておられますが、本当は逆です。指の爪を伸ばしていると、爪と皮膚のすきまが洗いにくくなるため、そこにたまった細菌が繁殖します。爪を長く伸ばして、マニキュアをしている女優さんが料理をしているところがテレビで放映されていることがありますが、不潔な感じがして、私は好きではありません。

23

●当院での治療の実際
 当院では超弾性ワイヤーを用い、曲がった爪をまっすぐに戻す治療を行っています。肉が盛り上がっているけれど、爪が短すぎてワイヤーが使用できない場合は、小さいチューブを爪の下に挿入し、食い込んだ爪を保護することで、肉の盛り上がりを減らしていきます。  まず最初に、写真のように爪に穴を開け、そこにワイヤーを通します。図の上はワイヤー治療前、下は1ヶ月後です。だいぶ爪のわん曲が直ってきているのがわかります。

456

別の患者さんです。足の人差し指の爪がひどく曲がっていました。今にも食い込みそうな爪でした。

78

治療一ヶ月後です。爪が比較的薄く、柔らかい場合には1ヶ月でもかなり改善されます。厚い爪の場合は、3ヶ月から半年かかることもあります。また、爪水虫の場合は、抗真菌薬の内服だけで治ることもありますので、診断をしっかりつけてもらうことも重要です。

910