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2018年1月28日 (日)

金属パッチテストについて

パッチテストという言葉は、お聞きになったことがある方は結構いらっしゃると思います。たとえば、市販の毛染めには、毛染めを行う48時間前にパッチテストを行うよう、説明書きに記載があります。いったいどうするの、ということですが、実際のやり方は、実際に使用する2種類の試薬を指定された割合で混ぜたのち、腕の内側に塗って、30分後と48時間後に塗ったところに赤みやかゆみなどの反応がないか見るというものです。行うこと自体は簡単ですが、判定が少し面倒くさいです。まず、塗ってから30分後の判定ですが、これは即時型アレルギー、すなわち、つけてすぐ反応するアレルギーがあるかどうかを見ています。ついで、48時間後の判定は遅延型アレルギー、いわゆるアレルギー性のかぶれが起こらないかを見ています。即時型アレルギーのほうが、一般には治療で治りやすく、遅延型のアレルギーのほうが治りにくいですが、どちらかにでも反応がでたら、その毛染めは使えません。万が一間違って使ってしまったら頭が真っ赤になったり、ひどいときには汁が出たり、顔が風船のようにすごく腫れて目が開けられないほどになったりすることもありますので、気を付けてください。

パッチテストのスケジュール

金属アレルギーに関しては、この2つの時間だけでなく、もっと長く観察する必要があります。その理由は、48時間より遅れて反応が出る場合が多いからです。当院のやり方を簡単に示しますと、

 
火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日 月曜日 火曜日

試薬を

貼付

濡らさ

ない

1回目

判定

2回目

判定

3回目

判定

自宅で

見る

自宅で

見る

最終

判定

となります。すなわち、1週間で5回の来院が必要です。自分で見ればいいじゃんと思われるかもしれませんが、判定がかなり難しいので、来院していただきたいのです。もちろん、明らかな異常があれば、だれが見てもわかりますが、本当にアレルギーなのか、単なる試薬の刺激なのかを判断するのに、経験や知識が必要です。もし刺激なのに、アレルギーと間違って判定したら、本来避けなくてもいいものにまで、余分な注意を払わないといけなくなります。

当院で検査できる金属一覧

鳥居薬品から購入している金属パッチ試薬を用いています(15種類)。

塩化アルミニウム2%
塩化コバルト2%
塩化第ニスズ1%
塩化第二鉄2%
塩化白金酸0.5%
塩化パラジウム1%
塩化マンガン2%
三塩化インジウム1%
四塩化イリジウム1%
臭化銀2%
重クロム酸カリウム0.5%
硫酸ニッケル5%
塩化亜鉛2%
塩化金酸0.2%
硫酸銅1%

 

Photo_2

パッチテスト用のシールです

パッチテストの実際

1)火曜日の指定された時間に来院

2)15種類の金属+1つのコントロールとしてのワセリンの計16種類の試薬の付いた

  上記シールを肩甲骨の近くの背中に貼ります

3)木曜日まで、貼ったところを濡らしたり、大汗をかいたり、こすったりすることを

  避けます

4)木曜日の指定された時間に来院。シールをはがして30分待っていただきます

 (はがすという行為により赤みが生じますが、それを陽性として間違えてしまうのを

  防ぐため)

5)1回目の判定 写真撮影

  以後はパッチテストを行ったところを濡らしてもらっても構いませんが、印を

  つけていますので、それを消さないように注意してください。また、強くこす

  ったりするのも、皮膚に余分な炎症が生じて、判定に影響が出ますので、やめ

  ましょう。もし、印がもし消えそうになったら、油性マジックで同じように印を

  つけておいてください。ずれて間違った判定をするのを防ぐためです。

6)金曜日の指定時刻に来院 2回目の判定 写真撮影 (ものの数分で終了です)

7)土曜日の指定時刻に来院 3回目の判定 写真撮影 (ものの数分で終了です)

8)日曜、月曜は普段通りの生活です

   6)~8)の間も5)と同じような注意は継続して行います。

9)火曜日の指定時刻に来院 4回目の判定 写真撮影 結果説明

パッチテストの注意点

1)感作される可能性

   皮膚にアレルギーを起こす可能性がある物質を貼るわけですので、貼ることで、

   その物質に対するアレルギーを発症してしまう可能性が、少ないですがあります。

2)かぶれ

   実際、貼った金属にかぶれた場合は、赤み、ぶつぶつ、かゆみが出ますし、ひどい場合

   には水膨れになることもあります。そしてその後色素沈着が生じることもあります。こ

   れらは適切な治療を受けると、いずれ元の皮膚の状態に戻ります。ただし、潰瘍になる

   ほど強い反応が起こった場合、跡が傷として残ってしまう可能性も稀ですがあります。

   そういう場合は、金属を貼って、48時間立たないうちに、とてもかゆくなったり、水膨

   れになったりするので早めにはがしてしまうことで、ある程度防ぐことが可能です。そ

   れとは違った意味のかぶれとしては、貼ったテープのノリにかぶれる方もおられます。

以上のことをご理解いただいたうえで、パッチテストを行います。ちょっと大変ですが、肌のトラブルの原因を明らかにするうえで、とても重要な検査です。

今回は金属パッチのお話でしたが、化粧品などによる顔のトラブルが疑われる場合は、日頃使っておられる化粧品などを用いてパッチテストを行うことができます。ただ、化粧水と、シャンプー、クレンジングでは、皮膚に貼るときの濃度が違いますので、調整が必要となります。検査をご希望の化粧品類は、前日までに持って来ておいていただくと、あらかじめ調整しておけるので、当日の検査がスムーズに行えます。パッチテストを実際行うことが決まりましたら、検査について詳しく説明いたしますので、ご不明な点はお気軽にお聞きください。