金属アレルギーについて
みなさん、金属アレルギーという言葉はお聞きになったことがありますか。日常よく見られるものとしては、いわゆるかぶれ(接触皮膚炎)があります。時計の金属のベルトや、ベルトのバックル、ネックレス、指輪、ピアスなど金属が皮膚に当たるところに一致して、かゆみを伴う赤み、ぶつぶつ、水膨れがみられるのが典型例です。
ジーンズのボタンによる接触皮膚炎
しかし、そのような単純なものばかりではなく、全身性金属皮膚炎(全身型金属アレルギー)というものもあります。これは、体内に吸収された金属が全身のいろんなところに影響を与えてアレルギー症状を引き起こすもので、吸収される経路としては、食物から入ってくるものと、体に埋め込まれた金属が少しずつ溶け出してくるものが知られています。
前者としては、ニッケル、クロム、コバルトなどを多く含むチョコレート、ココア、豆類、香辛料、貝類、胚芽などが原因食物としてあげられます。一方後者の代表としては、歯科金属からがあります。歯科金属はパラジウム、金、水銀、錫などを含有することが多く、時にニッケル、クロム、コバルトなどを含むこともあります。これらの金属は皮膚、粘膜、腸管、気道の粘膜で吸収され、汗、乳汁、涙、尿そして糞便中に排泄されます。その金属が出てきた場所で反応を起こし、掌蹠膿疱症(手足に膿がでる病気)、汗疱状湿疹(手足に水ぶくれができる病気)、扁平苔癬(口の中にレース状の白色の苔のようなものや手背などに多角形の紫紅色のブツブツが出来る病気)、貨幣状湿疹(丸いジクジクした湿疹)、痒疹(虫刺されのようなものが全身にできる病気)、紅皮症(全身が真っ赤になる病気)などを発症させたり、今ある湿疹を悪化させたりします。そして、その金属の摂取を制限すると症状が軽快することより、因果関係が明らかとなります。このような病気を全身性金属皮膚炎といいます。