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2020年2月1日

2020年2月 1日 (土)

コロナウイルス

皆さん、こんにちは。1月の間もしばらく暖かい日が続いており、このまま春になってしまうのか、と錯覚しそうな感じでしたが、最近は朝夕が結構寒くなってきました。さすがまだ冬だなと思っているこの頃ですが、お変わりないですか。巷では、インフルエンザもまだ結構流行っており、市内でも学級閉鎖になっているところもありましたが、それに加えて中国発祥とされるコロナウイルスが世間をにぎわしています。中国では感染者が1万人を突破したとの記事が出ましたし、別の解析では、武漢だけでも7万人を超えたという説もあるようです。日本でも15人の感染者が確認されたようですが、今はもっと増えているかもしれません。

コロナウイルス自体はありふれたウイルスで、普通の風邪を起こす4種類が知られています。それに加えて、過去には遺伝子変異をきたしたコロナウイルスが2種類存在していました。いわゆるSARS(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS(中東呼吸器症候群コロナウイルス)と言われているものです。ウイルスに変異をきたすと、人間にとっては初めて遭遇する病原体ということになるため、全世界の人がそのウイルスには免疫を持っていないという状況になります。そうなると、それに感染すると免疫が働かないため、重症肺炎を起こしてしまうのです。

ご存じの方もおられるとは思いますが、免疫には大きく自然免疫と獲得免疫の2種類あります。自然免疫とは初めて遭遇する病原体に反応する免疫のことで、獲得免疫とは過去にかかったことのある病原体のことを覚えていて、次回以降に同じ病原体が来ると、思い出して動き出す免疫のことと考えていただくといいと思います。後者ですと、一度経験しているので、思い出すのは簡単で、あっという間に病原体をやっつけてくれる細胞を増やしてくれます。ワクチンを打つのはこの獲得免疫を作るためです。

一方、初めて遭遇する病原体では、体の免疫細胞がどう反応したらいいか手さぐりになりますので、病原体をやっつけるのに手間取るということになります。ですから、もともと免疫力の弱っている高齢者、糖尿病患者、がん患者などが悪化しやすいわけです。ただ、生物のもつ免疫システムはかなり優秀なので、何とか対応できると考えられていますので、とても衰弱している人や、免疫の低下が懸念される病気を思っている人でなければ、それほど恐れる必要はないと思われます。とにかく、人込みを避け、手洗いうがいをきちんとすればうつる可能性は極めて低くなりますので、その点を注意されるといいと思います。ウイルスは空気中で増殖できないので、人がいないところでは、うつることはないのです。その証拠に、北極圏単独横断とか、冬山単独登山とかを行う人は、感染症にはならないと言われています。周りに人がいませんからね。

また、以前はやった新型インフルエンザでも、実は1918年以前に生まれた高齢者にはそのウイルスに対する抗体が見つかっていますし、MERSでも、一般のサウジアラビア人の0.15%には抗体があったと言われています。今回の新型コロナウイルスは、抗体保有者がいるかはわかっていないと思いますが、それでも自然免疫の仕組みが直してくれるはずので、我々ができること(体力を保つようにし、人込みを避けるようにして、手洗いうがいをする)を行い、とにかくパニックにならないことが大切です。

さらに、ちょっとショッキングな内容のものとしては、マスクではコロナウイルスに限らずインフルエンザウイルス感染を予防することはできないということが挙げられます。マスクはウイルス疾患にかかっている人がほかの人にうつさないようにするという効果は確認されているのですが、マスクをしたらうつりにくくなるという効果は実は証明されていません。ただ、ゴホゴホと咳をしている人は、インフルでもコロナでもないとしても、ほかの人に不快感を与えますので、ぜひマスクの着用をお願いします。繰り返しになりますが、我々みんなにとっては、とにかく規則正しい生活をし、食事をしっかりとるなどして体力を保ち、手洗いうがい、人込みを避ける、が病気を発症しないようにするために最も大切なことと思います。